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2025.02.07 ITイノベーション科・ITエンジニア科3年制 ブログ

【ITエンジニア科3年制・2年制】「DeepSeek」って何?

 昨今ニュースになっている「DeepSeek(ディープシーク)」についてご存じですか?AIのスプートニクといわれる「DeepSeek-R1」の「DeepSeekショック」について少し解説します。

 2025年1月20日にリリースされた中国AIスタートアップ企業「DeepSeek」の「R1」が低コスト・高性能な生成AIモデルとして、同社のiPhoneアプリ向けがChatGPTを抑えて無料アプリランキング1位を獲得したことを受け「DeepSeekショック」が起きました。それにより特にGPU市場を支配するNVIDIAの株価が1月27日に17%急落し、一時約6,000億ドル(約92兆円)の時価総額が喪失。翌日に8.8%回復しました。

 従来の最先端AI開発には大量のGPUと莫大な資金が必要とされていましたが、DeepSeekはリソースを大幅に抑えた独自技術で競争力を確保。上位AIと同等の性能を持ちながら開発費が約8億7000万円と、開発に数十億ドルが費やされてきたChatGPTなどと比較すると大幅に低コスト。さらにAPI利用料はGPT-3.5-turboの10分の1以下で、エッジデバイスでも動作可能な設計が特徴です。

 DeepSeekの技術革新には「CoT(Chain of Thought)」や「強化学習」「段階的学習(Curriculum Learning)」といった手法が活用され、さらに「スパース・アクティベーション」や「MoE(Mixture of Experts:混合専門家)」によりGPU依存度を下げつつ高性能AIを実現しています。また「R1」はオープンソースであるため、他の企業がこのモデルを使用して改良を加えカスタマイズすることも可能です。

 一方でDeepSeekのAIモデルには中国国内の規制に対応した挙動が見られることや、米国のデータや競合モデルを無許可で学習させる「蒸留(ディスティレーション)」を行った可能性が指摘され、さらに半導体を不正に入手した疑いも浮上し倫理的・法的な議論が巻き起こっているため、利用には注意が必要と言われています。

 しかし、パラダイムを大きく変えたことは間違いなく、今後のAI開発のあり方や、AIを使った社会発展の仕方を大きく変える可能性があります。MicrosoftやAmazonなどの大手企業もDeepSeekモデルを採用し始めています。今後はDeepSeekショックを教訓に、マルチモデル戦略を視野に入れ、ニーズに合ったAIモデルを慎重に選択していく必要があるでしょう。

【参照】

https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2502/04/news121.html

https://diamond.jp/zai/articles/-/1045327

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/86328

https://news.yahoo.co.jp/articles/6010bed3367d03a8f847b7d56a81d058d0e032ce

https://chatgpt-enterprise.jp/news/deepseek-shock/